2016年10月02日

不安の力 不確かさに立ち向かうこころ



坂野登:著
頸草書房
価格:本体2,700円+税


 ご承知のとおり、わたしは心理学の専門家でも研究者でもありませんが、なぜか坂野登という教育神経心理学の大家が書かれたが『かくれた左利きと右脳』1982青木書店という本の第二版を愛読していた男でして、この本が大きなヒントの一つとなって、今にわたしの活動につながっています。

 また、こうしたことが縁となり、今から十数年ほど前に、関西のスポーツ会社のお世話で先生と対談させていただいたわけですが、それ以後、わたしのライフワークである姿勢研究の手に負えない部分を、分もわきまえずに、度々先生にお願いしてきたというわけです。

 こうして常々お世話になってきた坂野登先生から、昨年末あたりに、先生の新著「『不安の力』不確かさに立ち向かうこころ」をお送りいただきました。

門外漢ながら、折しも、これまでの自己の経緯や経験をもとに、こころに関する本の執筆を始めていましたので、ワクワクとして拝読させていただきました。

 ただし日本の心理学界の頂点辺りでお仕事をされている坂野先生の頭の中身と、わたしごときの頭の中身とでは雲泥の差があることから、本書の中に立ちはだかる高い壁になんども進路を阻まれながらの、なんとかの通読となりました。

 ですが読後は、意外にとてもさわやかな気分に包まれました。というのも、わたしの雑多な頭で先生が伝えんとしていることを解釈してみると、「不安」という感情は「不安ではない」という安定した心持ちと相補相関的な関係にあり、生きていく活力の源泉ともなっている―ということになったからです。

 本書の副題が示しているとおり、「不安」という一見ネガティブな感情は、変化し続ける不確かなこの世界に進化適応していくため不可欠な感情である―ということになるようです。

 先生に叱られるかもしれませんが、わたしは本書の主旨をこのように捉えました。

 そして、精度や表現方法においては雲泥の差があるものの、すでに印刷にまわっている自著の方
向性と先生の主旨との間に溝が観えなかったことも大きな喜びでした。

 坂野先生はわたしとは違い、やはり学者らしく、古今東西の「不安」に関する研究を前もってしっかりと紹介され、その上で、後半(第9章)にそれらの論を踏まえつつ、ご自分の研究の成果を披露されています。

 姿勢や姿斉(姿勢を斉える技法)を伝える人間にとって、身体の理解はもちろんのこと、心思の理解も欠かせません。

 わたしのような情緒的な文章も、我ながら悪くはないと思いますが、若いころから世界をまたにかけ、最先端の研究を続けてこられた坂野先生の著書に内包される精度の高い資料や文章や解析の成果を、手元に引き寄せることのできるありがたさに気づいていただきたいと願います。

 どうぞご一読ください。

posted by K at 02:54| 01哲学

2016年08月25日

自然なこころのゆらぎ方



片山賢:著
コスモス・ライブラリー:版
1,800円+税

●自然なシリーズ2 『自然なこころのゆらぎ方』
かたやまけんの三部作

第一編『自然な姿勢の斉えかた』に次いで
第二編『自然なこころのゆらぎ方』が、2016年4月に出版されました。

副題に「なぜだか学校では教わらないこころの壊れ方・斉え方」
とあるように、本著には、こころの具体的なしくみから
そのこころは「どのようにして壊れるのか」ー、
そして、「どのようにすれば斉えることができるのか」ー、
といった、こころに関する最も肝要なポイントが
順序立てて、わかりやすく、具体的に説明されています。
どうぞ、ご家族皆さまでご一読ください。
posted by K at 03:57| 01哲学

2015年10月31日

アビダンマ講義シリーズ 『ブッダの実践心理学』文庫本版  一巻〜三巻


アルボムッレ・スマナサーラ/藤本晃
サンガ出版:刊
定価:一巻1,620円  二巻2,484円  三巻1,944円

同じタイトルの本をご紹介したのは何年前になるでしょうか。同名のシリーズを読んで以来、仏教に関してはマダラであった知識が一気につながったあの頃の記憶が、今でもよみがえります――。

3年ほど前にヨーロッパに出かけた際、アウェイカーのMさんから国内で1冊の本をプレゼントしていただいたのですが、それが以前に紹介していた本シリーズの文庫本でした。

文庫になっていることなどツユとも知らず、重い本を持ってヨーロッパに行こうか行きまいか――と迷っていたときに、ありがたくもMさんから文庫本の情報と、文庫本そのものをプレゼントしていただいたのでした。

続きは、AWAKER’Sへ







posted by K at 18:01| 01哲学

2013年12月28日

科学するブッダ




AWAKER'S-2013-12の
Chuyo Libraryで
紹介されました。

佐々木閑:著
角川ソフィア文庫:刊 
価格上/下:800円(税別)

(一般的に云う)神の視点からながめる世界観に支配されつつのあたりからスタートしたと思われる人類の思考は、やがて物理学・進化論・数学などといった人類自らの観察と思索から紡ぎだされていく世界観へと衣替えをおこなってきた――。

このような流れを本書では“人間化”と表現しつつ、そこにあってこの様子を冷静に客観的に解析しつつ、真理の交付を神の手から人間自らの手に引き寄せた人物に言及していきます。

つづきは、AWAKER'Sへ
posted by K at 01:52| 01哲学

2013年11月30日

論理の構造

AWAKER'S-2013-11の
Chuyo Libraryで
紹介されました。


中村元:著
青土社:刊 
価格上/下:3,600円(税別)
図書番号区分:150

いつぞやのこと、川棚教室の板間で。仲間のお一人から次のような質問を受けました。

「ちょっとお尋ねします。自分自身にまったくといっていいくらい自信が持てず、他人ともうまくいかず、自分とは何者かなどと悩み、社会にも適応できない人をみて『自己喪失(アイデンティティークライシスidentity‐crisis)だ』などと世間は騒ぐのですが、逆に初期仏教なんかでは、諸法無我などといって、自己なんか始めっからどこにもないよといった感じで否定しているじゃないですか。


つづきは、AWAKER'Sへ



posted by K at 06:31| 01哲学

2012年06月30日

自分だましの心理学



AWAKER'S-2012-06の
Chuyo Libraryで
紹介されました。

菊池聡著
祥伝社刊 
価格 各780円(税別)

「振り込み詐欺にどうしてだまされるのか」という質問に対して、認知心理学者である著者は、本書の中でこうおっしゃいます。

「その質問は前提がおかしいようですね。そもそも、“人はなぜだまされるのでしょうか?”ではなく、“なぜだまされない人がいるのかと問うべきでしょう」と答えておられます・・・・・・。

ところで、いきなり少し話がそれますが、この一文を読んだ時、別のある人物のことを思い出していました。

「世界の中に神秘が存在しているのではなく、世界が存在することが神秘なのです」――と

続きはAWAKER'Sへ・・・。
posted by K at 16:27| 01哲学

2011年12月31日

反哲学入門



AWAKER'S-2011-12の
Chuyo Libraryで
紹介されました。

木田元:著
新潮社:刊
価格1,575円

本書の著者である木田元氏は、哲学者になる前は、拳銃を懐に隠し持ちながら戦後の闇市で食いつなぎ、シベリヤに捕虜となっていた父親の代わりに家族を養っていたという異色の哲学者らしいです。

個人的には、こういう人は好きですね〜。
主観的な思い込みで申し訳ないですが、多くを見聞きするまでもなく、経験に裏付けされた思考の強靭さや幅の広さが伺えるからです。人生の深さみたいなものに触れる間もなく成長してしまい、頭と口先だけでいつもピーピーとのたまう方々とは格が違うと感じてしまいます。

続きはAWAKER'Sへ・・・。
posted by K at 07:59| 01哲学

2010年12月27日

怒らないこと2


AWAKER'S-2010-12の
Chuyo Libraryで
紹介されました。

著者:アルボムッレ・スマナサーラ
発刊:株式会社サンガ
初版:2010年8月2日
価格:700円+税 *180

このところ初期仏教づいておりまして、スマナサーラ長老のご本をあらたに三冊ほど読ませていただきました。これでかれこれ20冊ほど拝読させていただいております。

いや、この方、というか、この方の口や頭を通じて伝えられる初期仏教の教えは、仏教の枠組みだけにとどめておくのはもったいないなあ〜ほどに、自然観の深い方だなとつくづく感じ入ります。

いえいえ、けっして現状の仏教に文句をいっているのではありません。それどころか枝葉などの詳細は抜きとして、スマナサーラ長老の口を経て出てくるブッダその人の語る教えは自然律そのものではないかと深く感じ入るわけです。ですから、ついつい。

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posted by K at 16:02| 01哲学

2010年12月03日

『龍樹』


AWAKER'S-2010-11の
Chuyo Libraryで
紹介されました。

著者:中村元
発刊:講談社学術文庫(1548)
初版:2002年6月10日

古くより西洋では龍(ドラゴン)は死と罪の象徴とされ忌み嫌われ、その龍を退治する者は英雄の証とされたようです。

ところがそこより東方、イラン高原を越え、インダス平原に入ると、そこでは人面蛇身のこの龍を神とあがめます。

インド文化の流れを受けた古代中国でも、龍は東方位を守護する四神のひとつとされ、中国文化の影響を多大に受けた日本でも龍は神獣でした。

龍のことをサンスクリット語ではナーガ[naga]とよぶそうです。そこに古代インドの英雄であるアルジュナの名を加えると、ナーガルジュナとなります。

ナーガルジュナとは、理論的に空観を基礎づけ、大乗仏教学派を大いに奮い立たせた龍樹(150年〜250年頃)その人です。

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posted by K at 17:25| 01哲学

2010年10月30日

『人間の思想の歩み』


AWAKER'S-2010-10の
Chuyo Libraryで
紹介されました。

山崎正一著
講談社現代新書276

ナーガルジュナ(竜樹)さんが伝われるように「主体とその働きは不可分である(八不*1)」 ―― とするならば「全知全能の神がいて、その神が何らかの働きをなす」という思考は、はなはだ矛盾している話とあいなります。

しかし、この矛盾こそが人間における思考のパターンであり限界であると捉えるならば「そりゃそうですね」と、落ち着いて自分たち人類のおバカに納得できそうな気もします。

さて、本書はその題名どおり、人類の起源から現代に至るまでの「人間の思想の歩み」をハイライト的に解説してくれている読みものです。また後半では、日本の思想の解説にかなりのページをさいてくれています。

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posted by K at 17:16| 01哲学